SAKE DIPLOMA International(英語版の日本酒資格)の受験を考えている方に向けて、2023年に合格した義侠屋スタッフが実際の勉強方法を5ステップで公開します。2026年度の最新試験情報、合格率データ、使用教材リスト、論述の具体例まで、受験準備に必要な情報をまとめました。これから挑戦する方の一助になれば幸いです。
SAKE DIPLOMA International 試験の概要(2026年度版)
SAKE DIPLOMA Internationalは、一般社団法人日本ソムリエ協会(J.S.A.)が主催する、英語で受験できる日本酒・焼酎の認定試験です。2018年にロンドンで第1回試験が開始され、現在では日本・アメリカ・台湾・香港・シンガポール・ドイツ・イギリス・フランスなど世界各地で実施されています。
日本酒の輸出が拡大するなかで、海外における日本酒教育と普及を目的に設計された資格で、海外のソムリエや料理人、日本酒バイヤーからも注目されています。
受験資格
受験資格は、基準日(受験年度の8月31日時点)に満20歳以上であることのみで、国籍・職業・経験は問われません。飲食店や酒類業界で働いていない方でも受験可能で、個人の日本酒愛好家も挑戦できるオープンな資格です。
試験の詳細比較表
SAKE DIPLOMA(日本語)とSAKE DIPLOMA International(英語)の違いを表にまとめました。2026年度の最新情報は公式サイトで必ずご確認ください。
| 項目 | SAKE DIPLOMA(日本語) | SAKE DIPLOMA International(英語) |
|---|---|---|
| 試験日程 | 一次(7〜8月頃)→ 二次(10月頃) | 一次・二次とも同日(10月頃) |
| 一次試験の形式 | 4択CBT方式(60分) | 記述式(60分) |
| 二次試験の形式 | テイスティング30分+論述20分 | テイスティング40分+論述20分 |
| 主な会場 | 全国主要都市 | 東京・大阪+海外各地 |
| 使用教本 | J.S.A. SAKE DIPLOMA 教本 | J.S.A. SAKE DIPLOMA English Edition |
SAKE DIPLOMAの現行教本は「Fourth Edition(第4版)」です。教本は数年ごとに改訂されることがあるため、受験時点で最新版を確認し、使用することをおすすめします。最新の教本情報は日本ソムリエ協会の公式ECサイトでご確認いただけます。
日本語版との違い・難易度・合格率
SAKE DIPLOMA Internationalの最大の特徴は、一次試験が4択ではなく記述式である点です。用語を正確にスペルまで書けるレベルで暗記する必要があります。
合格率の推移(2021〜2025年)
日本ソムリエ協会が公表している資格保有者一覧表をもとに、直近5年間の推移をまとめました。
| 年 | 受験者数 | 合格者数 | 合格率 |
|---|---|---|---|
| 2021年 | 219名 | 67名 | 約30.6% |
| 2022年 | 182名 | 66名 | 約36.3% |
| 2023年 | 182名 | 64名 | 約35.2% |
| 2024年 | 181名 | 63名 | 約34.8% |
| 2025年 | 179名 | 75名 | 約41.9% |
合格者数は年間60〜75名ほど、累計合格者数は2025年時点で446名(国内・海外合計)です。SAKE DIPLOMA(日本語版)の累計合格者数と比べて取得者が少なく、希少性の高い資格といえます。
※出典:一般社団法人日本ソムリエ協会「資格保有者一覧表」
英語試験ならではの難しさ
英語試験に特有の難しさは、次の3点に集約されます。
ひとつ目は、専門用語のスペルを正確に覚える必要があること。「koji」「moto」「namazake」など、ローマ字表記の固有名詞を一字一句違えず書けなければ得点になりません。
ふたつ目は、論述を英語で構成する訓練が必要なこと。日本語で考えた内容をそのまま英訳するのではなく、英語で直接アウトプットできるようにしておく必要があります。
みっつ目は、英語でのテイスティング用語の暗記。香りや味わいの表現を英語で的確に選べるよう、専用の語彙を増やす必要があります。
おすすめの勉強方法【5ステップ】
ここからは、実際に合格した経験をもとに、効率的な勉強の進め方を5つのステップで紹介します。試験問題や回答の具体的な内容は、協会ルール上、公開できないため、あくまで勉強の進め方に絞ってお伝えします。
教本を読んで内容を理解する
日本語が第一言語の方は、まず日本語の教本で内容を理解してから、英語の教本に進むほうがスムーズです。英語教本を単独で読むと、専門概念と英語表現を同時に学ぶ必要があり、負荷が大きくなります。
- 日本語教本で概念を理解する
- 英語教本を通読する
- 分からない箇所は日本語教本と照合する
- 重要事項にマーカーを引いておく
マーカーを引いておくべき重要事項
単語帳を作る
教本を一通り理解できたら、暗記用の単語帳を作ります。紙でも構いませんが、スマホとPCの両方で使える「Quizlet」などのアプリが便利です。スキマ時間の活用に最適で、シャッフル機能で偏りなく覚えられます。
- 難しい英単語・スペルが怪しい英単語
- 年号(和暦・西暦両方)
- 酒米と、その交配関係
- 発酵・熟成・貯蔵などの温度帯
- 教本に登場する人物名
- 「〇〇といえばどの都道府県か」の連想知識
筆者が実際に作成した単語帳です。誤字や整理不足があるため、参考例としてご覧いただき、ご自身で作り直すことをおすすめします。
年号や数字は特に覚えにくいので、語呂合わせを作るのがおすすめです。自分に馴染みのあるフレーズにすることで、試験当日の再現率が大きく変わります。
論述の回答を作成する
内容の理解が進んだら、論述試験の回答も作っていきます。自分で出題テーマを想定し、各テーマにつき100〜150単語程度でまとめるのが目安です。
- 教本に掲載されている各都道府県の特徴
- 主要な酒米の特性
- 焼酎の種類と料理とのペアリング
- 日本酒製造の重要工程
練習のステップ
- キーワードを書き出せる状態を目指す:完全な文章をすべて暗記するのは現実的ではありません。まずはテーマごとに必要な情報を単語レベルで書き出せるように。
- キーワードを英文に組み立てる:書き出したキーワードを、自分の言葉で短い英文にまとめる練習をします。
- 欲張らず厳選する:文章が長いほど覚える負担が増えます。「これだけは外さない」という情報に絞るのが鍵です。
例:Aomori Prefecture のキーワード
ひたすら暗記する
教本の理解、単語帳、論述の模範回答が揃ったら、徹底的に暗記するフェーズです。使う教材と時間帯で役割分担すると効率よく進められます。
- スキマ時間 → 単語帳(Quizlet等)で反復
- まとまった時間 → 論述の回答作成・暗記
- 試験直前期 → 問題集で知識の定着確認
補助教材として便利な問題集
英語版の問題集は希少。SAKE DIPLOMA International対応の貴重な1冊。選択式なので、最終的には選択肢なしでも答えられる状態を目指しましょう。
1問1答形式でCBTに近い感覚で練習できます。毎年新傾向問題が追加されており、知識の定着確認に最適です(日本語)。
テイスティングを練習する
二次試験で特に苦戦しやすいのがテイスティングです。1つの飲料で8つ程度の香り要素を選ぶ必要があり、すべてを嗅ぎ分けるのは容易ではありません。
教本に沿って「この系統の香りが感じられたら、このテイスティング用語を選ぶ」というパターンを事前に決めておくのが有効。完璧な嗅ぎ分けより、一定の基準で選択できるほうが現実的です。
まず揃えたい4タイプの日本酒
セルレニン耐性酵母を使った大吟醸タイプ。りんごや洋ナシを思わせる華やかな吟醸香が特徴。
乳酸由来のヨーグルトのような香りと、奥行きのある旨みが特徴。他タイプとの判別軸になる。
TYPE 01・02 に該当しない穏やかな純米酒。米由来のふくよかさが基準となる味わい。
醸造アルコール添加による、すっきりとしたキレのある味わい。軽快で飲みやすいのが特徴。
使用酒米を当てる設問もありますが、合格者の多くが「米の違いを完全に当てるのは難しい」と話しています。山田錦・雄町・五百万石など主要な酒米の特徴を感覚的に覚えておく程度でも合格は可能です。
テイスティング練習におすすめの日本酒
テイスティング対策では、タイプの違うお酒を体系的に飲み比べることが何より重要です。義侠屋では、全国の蔵元から仕入れた日本酒を取り揃えており、受験対策用のラインナップもご案内できます。
タイプ別・練習の進め方
一度にすべてのタイプを揃えるのは難しいので、次の順番で少しずつ飲み比べていくと記憶に残りやすくなります。
最初は、華やか系(吟醸香の強い大吟醸)と穏やか系(純米酒)の対比から始めます。香りのコントラストが大きいため、違いを体で覚えやすい組み合わせです。
次に、生酛・山廃系を1本加えます。独特の乳酸由来の香りと奥行きのある味わいは、他のタイプとは明確に異なり、判別の軸になります。
最後に、本醸造系や生酒など、製造法の違いが味わいに直結するタイプを試します。
義侠屋で相談いただくことも可能です
「どれが欲しいスペックの日本酒かわからない」という方は、義侠屋の店頭でご相談いただければ、お手伝いさせていただきますので、お気軽にお声がけください。
よくある質問(FAQ)
Q. SAKE DIPLOMA InternationalはSAKE DIPLOMA(日本語)を取得していなくても受験できますか?
A. はい、受験できます。どちらか一方だけを受験することも、両方を同じ年に受験することも可能です。ただし、同一呼称を保有済みの方は同じ呼称を再受験できません。
Q. 英語の資格と日本語の資格、どちらから取るのがおすすめですか?
A. 日本語が第一言語の方には、まず日本語版を取得してから英語版に進むルートをおすすめします。教本の内容は同じなので、概念を日本語で理解してから英語表現に移るほうが負荷が少なくなります。
Q. 受験勉強にはどれくらいの期間が必要ですか?
A. 個人差がありますが、毎日1〜2時間の勉強を確保できる場合で、概ね3〜6か月程度が目安です。英語版は記述力とスペル精度が求められるため、日本語版より余裕を持って準備することをおすすめします。
Q. テイスティング対策にはどんなお酒を揃えればよいですか?
A. 香りと味わいのタイプが明確に異なる4〜5本から始めるのがおすすめです。華やか系の大吟醸、穏やか系の純米酒、生酛・山廃系、本醸造系などをタイプ別に揃えます。
Q. 合格後、資格は何に活かせますか?
A. 飲食業・酒類小売業・輸出業での専門性の裏付け、海外での日本酒教育活動、メディアでの発信、インバウンド向けサービスの提供など、活用の幅は広がっています。国際認定資格として、海外で活動する方にとっては特に価値が高まっています。
まとめ
- SAKE DIPLOMA Internationalは英語で受験できる希少性の高い日本酒資格
- 勉強は「教本理解 → 単語帳 → 論述 → 暗記 → テイスティング」の5ステップが効率的
- テイスティング対策にはタイプ別の日本酒をそろえた体系的な飲み比べが鍵
SAKE DIPLOMA Internationalは、日本酒を世界に伝える立場を目指す方にとって、大きな自信と可能性をもたらす資格です。準備は決して楽ではありませんが、計画的に進めれば確実に合格に近づけます。試験情報は必ず日本ソムリエ協会の公式サイトで最新版をご確認ください。
これから受験される方の挑戦が実を結ぶことを、心より応援しています。受験対策の日本酒選びや、勉強中のご質問など、義侠屋までお気軽にご相談ください。
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