先日、山忠本家酒造「義侠(ぎきょう)」の秋の酒の会(試飲会)に参加してきました!テーマは酒米(さかまい/日本酒専用のお米)。米づくりと真摯に向き合う蔵元から、酒米のいまとこれからについて多くを学んできました。その内容を、日本酒づくり全体の背景も交えながらお届けします。
揺れ動いた、酒米の価格
最初のお話は、ここ数年における酒米価格の大きな変動についてでした。2024年に主食用米の品薄と価格高騰で話題となった「令和の米騒動」。その影響は、日本酒に使われる酒米にも大きく及んだといいます。
価格が高騰すると仕入れに慎重にならざるを得ず、買い控えが進みます。すると今度は米が余り、価格が下がっていく――。近年の酒米は、こうした需給の揺れを映すように、高騰から下落へと転じたと伺いました。
こうした価格の乱高下は、酒造りの現場にとって大きな課題です。山忠本家酒造の社長曰く、ここ1〜2年は不安定な価格状況が続くのではないか、とのことでした。
価格の奥にある、農家と産地の話
価格変動の背景を踏まえ、山忠本家酒造さんが今後さらに「酒米と農家」へのこだわりを深めていくというお話もお伺いしました。
課題の根底にあるのは、「誰が酒米を作り続けるのか」という産地と農家の問題です。農業全体の高齢化や後継者不足が深刻化するなか、酒米づくりも例外ではありません。
- 直接取引:市場を介さず、蔵と農家が直接つながる。
- 複数年契約:単年ではなく複数年契約で、生産基盤を安定させる。
- 品質と価格の両立:品質を守りつつ、双方が納得できる価格を目指す。
- 生産者の見える化:誰がどう育てた米かを明らかにし、価値として伝える。
市場任せにするのではなく、蔵と農家が直接向き合い長期的・安定的な関係を築くこと。価格が揺れる時代だからこそ信頼を積み重ねていく姿勢が、これからの日本酒を支える土台になると改めて実感させられました。
今後は、除草剤に頼らない手間暇かけた米づくりに取り組む農家と連携したり、実際に米づくりを体験できる機会を設けたりと、米そのものへの向き合い方をより一段深めていくそうです。
試飲で感じたこと
お話の後は、50種類近くにおよぶテイスティング(試飲)の時間です。一杯ずつ味わうなかで、「義侠」というお酒の骨格と魅力が見えてきました。
義侠のお酒は全体として派手すぎず、食事に寄り添うタイプが中心です。後味を心地よく締める「酸」が活きたキレのあるものから、包み込むような丸みのある味わいまで、豊かな表情を見せてくれます。
- 食事に寄り添う:派手すぎず、料理の引き立て役となる味わい。
- 幅のある表情:際立つ酸味から丸みのある優しさまで多彩。
- 磨きの幅:精米歩合30〜70%。70%磨きでも雑味がなく非常に綺麗な仕上がり。
- 熟成:同一銘柄でも醸造年度(BY)ごとの変化や熟成による深みが楽しめる。
醸造年度による表情の違いや熟成の深まりも体感でき、大変実りある試飲となりました。
- 酒米価格は高騰から下落へ。需給の不安定さは業界共通の課題。
- 根底にあるのは産地と農家の問題。直接取引や「見える化」が今後の鍵。
- 義侠は、さらに酒米と生産者へ寄り添う姿勢を強化している。
- 約50種の試飲を通じ、料理を引き立てる味わいと年度・熟成による奥行きを実感。
山忠本家酒造さんが示す米づくり・酒造りへの真摯な想いは、そのまま「義侠」のお酒に反映されています。皆様もぜひ、造り手さんの背景に思いを馳せながら味わってみてください。
コメント