イベント

焼酎の種類と味わいの違い|芋・麦・米・黒糖焼酎を初心者にも分かりやすく解説

先日、義侠屋で「今こそ飲むべし!本格派焼酎」と題した試飲会を開きました。原料・麹・個性・熟成という4つの視点で、全11種を飲み比べていただいた会です。焼酎は、原料が変われば香りも味わいも別のお酒のように変化するお酒。この記事では、会でお伝えした内容をもとに、芋・麦・米・黒糖という4つの代表的な原料の違いを軸に、麹や熟成による変化、飲み方の選び方までを順に解説します。

本格焼酎と甲類焼酎の違い

焼酎売り場に行くと、大きな紙パックの安価なものと、瓶に入った銘柄ものが並んでいます。この2つは、同じ「焼酎」という名前でも、法律上は別のカテゴリーです。

違いは蒸留の方法にあります。酒税法では、連続式蒸留機で造られたものを「連続式蒸留焼酎(旧・甲類)」、単式蒸留機で造られたものを「単式蒸留焼酎(旧・乙類)」と分けています。後者が、一般に「本格焼酎」と呼ばれているものです。

連続式蒸留焼酎(甲類)
  • 連続式蒸留機で何度も蒸留
  • 原料の個性はほとんど残らない
  • クセがなくすっきり
  • チューハイやサワーのベースに
単式蒸留焼酎(本格焼酎)
  • 単式蒸留機で1回だけ蒸留
  • 原料の香りと味が残る
  • 銘柄ごとの個性が大きい
  • そのまま、または割って味わう

義侠屋で扱っているのは、基本的に本格焼酎です。1回しか蒸留しないため、原料由来の香りや旨みがそのままお酒に残ります。だからこそ、原料によって味わいがかなり変わってきます。

豆知識

「乙類」という呼び名は、かつて甲類より格下という印象を与えるとして問題視された時期がありました。そこで業界が使い始めたのが「本格焼酎」という呼称です。現在では酒税法上の表示としても認められています。

原料で変わる味わい|芋・麦・米・黒糖

本格焼酎の味わいを決める最大の要素が、原料です。同じ蔵、同じ造り手が手がけても、原料が違えば香りの方向性はまったく変わります。飲み比べ会でも、最初のグループはこの原料の違いに充てました。代表的な4つを見ていきましょう。

焼酎の代表的な原料、さつまいも・大麦・米・黒糖のイラスト
左から、さつまいも・大麦・米・黒糖。原料が変われば、香りも味わいも大きく変わります。
芋焼酎

さつまいもが原料。香りの個性がもっとも大きく出るタイプです。「芋は苦手」というお声をいただくことがありますが、品種によって、甘い香りのものから柑橘のような爽やかなものまで幅があります。主産地は宮崎県と鹿児島県。

麦焼酎

大麦が原料。香ばしさとすっきりした飲み口が特徴で、焼酎に慣れていない方が手に取りやすいタイプです。主産地は大分県のほか、長崎県の壱岐など。

米焼酎

米が原料。日本酒と同じ原料のため、やわらかくふくらみのある味わいになります。穏やかで上品なタイプが多く、和食に合わせやすいのが魅力です。熊本県の球磨地方が代表的な産地。

黒糖焼酎

黒糖と米麹が原料。まろやかな甘い香りを持ちながら、後味は意外にすっきりしています。鹿児島県の奄美群島でのみ造られる、地域限定の焼酎です。

ちなみに、実際にどの原料がどれくらい流通しているのでしょうか。日本酒造組合中央会がまとめた2024年(1〜12月)の本格焼酎課税移出数量は、全体で34万576klでした。原料別の構成比は次のとおりです。

麦43.8%14万9086kl
芋42.9%14万6187kl
米8.5%2万9093kl
そば1.6%5374kl
その他3.2%黒糖・ごまなど

※出典:日本酒造組合中央会まとめ/日本食糧新聞「本格焼酎特集:原料別構成比は『麦』が首位に」(2025年4月7日)。「その他」の構成比は、公表されている各原料の構成比から算出した参考値です。

注目したいのは、麦と芋がほぼ拮抗している点です。この年、麦が芋をわずかに上回り、原料別の構成比でトップになりました。

同じ原料でも味が違う理由|麹

「同じ芋焼酎なのに、銘柄によってまるで印象が違う」と感じたことはないでしょうか。その理由のひとつが、麹(こうじ・原料を糖に変える働きをするカビ)の違いです。

焼酎造りで使われる麹は、主に3種類あります。

焼酎づくりに使われる黒麹菌・白麹菌・黄麹菌のイラスト
焼酎づくりに使われる3種類の麹。左から黒麹、白麹、黄麹。
麹の種類 特徴
黒麹 沖縄の泡盛づくりに使われてきた麹。クエン酸を多く生成するため、暖かい土地でももろみが腐りにくいとされます。どっしりとしたコクのある味わいになると言われています。
白麹 黒麹から派生した麹。扱いやすく、多くの蔵で使われています。穏やかでバランスのよい仕上がりになると言われています。
黄麹 日本酒づくりに使われる麹。焼酎では華やかな香りが出やすいとされ、吟醸香を思わせるタイプの焼酎に用いられることがあります。

味わいの表現は蔵元や書き手によって言い回しが異なるため、あくまで傾向としてご覧ください。確かなのは、同じ蔵・同じ原料でも、麹を替えると味わいが変わるということです。義侠屋にある銘柄でわかりやすいのが、「富乃宝山」と「吉兆宝山」。同じ蔵、同じ黄金千貫を使いながら、前者は黄麹、後者は黒麹で仕込まれています。

樽で熟成させた焼酎

原料と麹に加えて、もうひとつ味を大きく変える要素があります。樽での熟成です。

蒸留したての焼酎は無色透明ですが、これを樫(かし)などの木樽に入れて長く寝かせると、色が淡い琥珀色に変わり、樽由来の香りが加わります。ウイスキーやブランデーと同じ原理です。

樽熟成した焼酎は、度数が高めに設定されているものも多く、ストレートやロックでゆっくり味わうのに向いています。「焼酎なのにウイスキーのよう」と驚かれることも多く、焼酎に苦手意識のある方への入り口になることもあります。

選ぶときのポイント

樽熟成タイプは、価格が通常の本格焼酎より高くなる傾向があります。まずは店頭で相談し、どの程度の熟成感が好みかを絞り込んでから選ぶと失敗が少なくなります。

飲み方で味わいは変わる

焼酎は、同じ一本でも飲み方によって印象がはっきり変わります。ここが日本酒やワインとの大きな違いです。まずは基本の割合を知っておきましょう。

焼酎の飲み方5種、ストレート・ロック・水割り・お湯割り・ソーダ割りのイラスト
同じ一本でも、飲み方を変えると印象が大きく変わります。
飲み方 割合の目安 向いているタイプ
ストレート そのまま 香りを確かめたいとき。樽熟成タイプにも
ロック 氷のみ 味が締まる。度数高めのタイプに
水割り 焼酎6:水4 食事と合わせたいとき
お湯割り 焼酎6:お湯4 香りを開かせたいとき。芋・麦に
ソーダ割り 焼酎1:ソーダ2〜3 軽快に楽しみたいとき
試飲会場に掲示した、ロック・水割り・ソーダ割り・お湯割りの割合を書いた黒板
試飲会では、割り方の目安を会場に掲示しました。数字が見えていると、初めての方も迷わずに試せます。

お湯割りを作るときは、先にお湯を注いでから焼酎を入れるのが基本とされています。こうすると対流が起きて自然に混ざり、香りが立ちやすくなります。

近年は炭酸で割るスタイルの提案が広がっており、日本酒造組合中央会も2025年から、バーテンダー団体と組んで本格焼酎・泡盛のカクテル普及に取り組む方針を示しています。焼酎の楽しみ方は、いま確実に広がっています。

※出典:日本食糧新聞「本格焼酎特集:日本酒造組合中央会、定番カクテルを考案 国内外でバー需要開拓」(2025年4月26日)

初心者におすすめの選び方

一本買う前に、少しずつ試せる場を

ただ、初めから720mlのサイズで焼酎を買ってしまうと、自分の好みではなかったときにもったいないですよね。ですので、初心者の方は特に、飲食店さんで少しずつ試してみたり、試飲会に参加することをおすすめします。試飲会の良いところは、さまざまな種類を少しずつ試せるところです。

また、たとえば「芋は苦手」という方でも、過去に飲んだ一本が合わなかっただけ、というケースがあります。そのため、原料が同じで違う蔵元さんが醸す焼酎を試してみるのも、自分の好みを見つけるうえで大切だと思います。

好みの方向を絞る目安
  • 飲みやすさを優先するなら、麦焼酎か米焼酎から
  • 香りの個性を楽しみたいなら、芋焼酎を
  • 甘い香りが好きなら、黒糖焼酎を
  • ウイスキーが好きなら、樽熟成タイプを
  • 迷ったら、ふだん飲んでいるお酒を店頭で伝えて相談する

最後の項目が、実はいちばん気軽で確実です。「ビールが好き」「ハイボールをよく飲む」「甘いお酒は苦手」。そのくらいの手がかりがあれば、おすすめできる一本はぐっと絞り込めます。飲み方が決まっていなくても大丈夫です。その方に合った飲み方は、こちらからご提案いたします。

飲み比べ会「今こそ飲むべし!本格派焼酎」レポート

先日、義侠屋で焼酎の飲み比べ会を開催しました。ここまで解説してきた「原料」「麹」「熟成」に、原料が個性的な銘柄を集めた「個性」を加えた4つのグループに分け、軽いものから順に味わっていただく構成にしました。

義侠屋の焼酎試飲会で提供した本格焼酎11種のボトルとテイスティンググラス
当日の顔ぶれ。ご用意した11種に、参加者の方がお持ちくださった一本が加わりました。

当日お出しした11種

グループ銘柄蔵元(産地)分類
原料の違い山翡翠尾鈴山蒸留所(宮崎)米焼酎 25度
山猿尾鈴山蒸留所(宮崎)麦焼酎 25度
山ねこ尾鈴山蒸留所(宮崎)芋焼酎 25度
麹の違い富乃宝山西酒造(鹿児島)芋焼酎・黄麹 25度
吉兆宝山西酒造(鹿児島)芋焼酎・黒麹 25度
個性で選ぶ緑の赤兎馬 抹茶使用薩州濱田屋(鹿児島)芋焼酎・抹茶/緑茶 25度
朝日 青ラベル朝日酒造(鹿児島)黒糖焼酎 25度
カルダモンTAKE7豊永酒造(熊本)米焼酎ベースのリキュール 25度
熟成の個性百年の孤独黒木本店(宮崎)麦焼酎 40度
天使の誘惑西酒造(鹿児島)芋焼酎 40度
十四代 秘蔵乙焼酎高木酒造(山形)米焼酎 40度

※銘柄名がリンクになっているものは、オンラインショップでお求めいただけます。在庫状況により品切れの場合がございます。

なお当日は、参加者の方が10年貯蔵の「兼八」をご厚意でお持ちくださり、皆さんで味わわせていただく一幕もありました。長く寝かせた麦焼酎を、その場にいた全員で分け合う。飲み比べの会ならではの時間でした。ありがとうございました。

お客様からいただいた感想を、まとめていきます。

好みは、原料できれいに分かれた

「特に気に入った銘柄」を複数回答でうかがったところ、票は結構ばらけました。11種のうち9種に票が入り、特定の一本に集中することはありませんでした。

その票を、原料ごとにまとめ直したものが次のグラフです。

芋8票
麦2票
米2票
黒糖2票
その他(抹茶・スパイス)2票

※回答7名による複数回答(のべ16票)を、原料別に集計したものです。

最も票を集めたのは芋でした。「芋は苦手」という声をよく耳にするだけに、この結果は意外に思われるかもしれません。ただ、票が入った芋焼酎は、柑橘のような香りのもの、黄麹で軽やかに仕上げたもの、樽で長く寝かせたものと、方向性がばらばらでした。ひとくちに芋といっても、中身はまったく別物だということです。

麦・米・黒糖にも、それぞれ票が入りました。人によって刺さる原料が違い、しかも同じ原料のなかでも好みが分かれる。これは、記事の前半でお伝えした「焼酎は原料や造りで別のお酒のように変わる」という話を、そのまま裏づける結果でした。

逆にいえば、一本だけ飲んで「焼酎はこういうもの」と判断してしまうのは、やはりもったいないということでもあります。

当日に見つかった、おいしい組み合わせ

もちろん、どの焼酎もそれぞれに楽しんでいただきましたが、そのなかでも特に反響の大きかった感想をいくつかピックアップしてご紹介します。

麦焼酎「山猿」のボトル
山猿(尾鈴山蒸留所・宮崎)

「これが麦?」と、思わず声が出る一本でした。麦焼酎といえば香ばしくすっきり、という印象をお持ちの方が多いと思います。ところが「山猿」は、カカオを思わせる香りが重なり、香ばしさと甘さをしっかりと感じる重厚な味わいです。同じ蔵の「山ねこ」「山翡翠」と並べると、原料の違いだけでなく、造り手の個性が3本を貫いているのも見えてきます。

芋焼酎「天使の誘惑」のボトルのイラスト
天使の誘惑(西酒造・鹿児島)

樽熟成の芋焼酎「天使の誘惑」は、ソーダ割りが驚くほど合いました。40度の樽熟成というと、ストレートかロックで静かに味わうもの、という先入観があります。ところがソーダで割ると、甘い香りはしっかり立ったまま後味だけが軽くなり、まったく別の表情を見せました。「これが最後の一杯でもいい」と絶賛される方もいらっしゃったほどです。つい手が伸びてしまうという意味で、「天使の誘惑」という銘柄名がぴったりの一杯でした。

米焼酎「十四代 秘蔵乙焼酎40度」のボトル
十四代 秘蔵乙焼酎(高木酒造・山形)

「十四代 秘蔵乙焼酎」は、アイリッシュウイスキーがお好きな方にこそおすすめしたい一本です。日本酒「十四代」で知られる高木酒造が手がける、40度の米焼酎。長期熟成によるまろやかさと、米由来の上品な甘い香り。度数の高さを感じさせないなめらかな口当たりは、ウイスキーを飲み慣れた方ほど「これは」と反応されるタイプでした。焼酎とウイスキーを別のものとして分けている方に、橋を渡してくれるお酒だと思います。

黒糖焼酎「朝日」のボトル
朝日 青ラベル(朝日酒造・鹿児島)

黒糖焼酎には、黒糖のおつまみを。当日は朝日酒造の黒糖菓子「陽出る國の黒いダイヤ」をご用意していたのですが、同じ蔵の黒糖焼酎「朝日」と合わせると相性が抜群でした。同じ原料どうしを合わせるという、単純ながら間違いのない組み合わせです。ご自宅で試していただくのも簡単なので、黒糖焼酎を買われた方はぜひ。

米焼酎ベースのリキュール「カルダモンTAKE7」のボトル
カルダモンTAKE7(豊永酒造・熊本)

「カルダモンTAKE7」には、ビリヤニを合わせてみてください。もともと「カレーに合う焼酎を」というリクエストから生まれたお酒です。炭酸で割ると、カルダモンの爽やかな香りがすっと立ちのぼります。スタッフとしてぜひおすすめしたいのが、義侠屋で販売しているビリヤニとの組み合わせです(Instagramでもご紹介しています)。スパイスにはスパイスで受けるという発想で、香りが互いを邪魔せず、むしろ重なって膨らみます。ご家庭でカレーやエスニック料理を召し上がるときにも、ぜひ試していただきたい一本です。

次回、どんな会に参加してみたいですか

義侠屋としても、お客様にいろいろなお酒を楽しんでいただきたいということで、今後も試飲会を開催できたら、と考えております。

こんな試飲会に参加したい、というご希望があれば、ぜひご意見をお聞かせください。所要1分ほどの簡単なアンケートです。ブログをご覧いただいている方のお声も、企画の参考にさせていただきます。

※フォームが表示されない場合は、こちらのページからもご回答いただけます。

よくある質問

Q. 焼酎に賞味期限はありますか

蒸留酒であるため、未開栓であれば賞味期限の表示義務はありません。ただし直射日光と高温は避け、冷暗所で保管してください。開栓後は香りが少しずつ変化するため、早めに飲み切るほうが本来の味わいを楽しめます。

Q. 焼酎に糖質は含まれますか

焼酎は蒸留酒のため、蒸留の過程で糖分は基本的に留出しません。黒糖焼酎も、原料に黒糖を使いますが、糖分は焼酎には移行しないと蔵元側が説明しています。ただしリキュールに分類される商品は別で、糖類が加えられている場合があります。ラベルの分類表示をご確認ください。

Q. 黒糖焼酎とラムはどう違いますか

どちらもサトウキビ由来ですが、黒糖焼酎は米麹を使って一次仕込みを行う点が異なります。ラムはサトウキビの搾り汁や糖蜜を原料とし、酒税法ではスピリッツに分類されます。米麹を使うことが、黒糖焼酎が焼酎として認められる条件のひとつになっています。

Q. 芋焼酎の「芋くささ」が苦手です

芋焼酎は品種や麹、蒸留方法によって香りの出方が大きく変わります。柑橘を思わせる爽やかな香りのタイプもあるため、一度別のタイプを試してみてください。また、ソーダで割ると香りの印象が軽くなり、飲みやすく感じられることがあります。

Q. 焼酎の度数はどれくらいですか

25度前後の商品が広く流通しています。樽熟成タイプなど、40度前後で仕上げられているものもあります。度数が高いものは、割って飲むか、ストレートでも少量ずつ、水を挟みながら楽しむのがおすすめです。

まとめ

  • 本格焼酎は1回だけ蒸留するため、原料の個性がそのまま残る
  • 芋・麦・米・黒糖という原料の違いが、味わいを決める最大の要素
  • 麹や樽熟成、そして飲み方によっても、印象は大きく変わる

焼酎は、選択肢の多さがそのまま面白さになるお酒です。一本目が合わなくても、原料や飲み方を変えれば、印象はまったく違ってきます。気になる方向性が定まったら、ぜひ店頭でご相談ください。

関連記事

コメント

この記事へのコメントはありません。

PAGE TOP