「美し国、三重」の食文化
三重県は南北に長い県なので、北と南では食文化も結構異なりますよね。
今回のセミナーで三重県5地区それぞれのエリアの有名な食べ物をご紹介いただきました。
北西 | 大谷知そうめん、蛤料理、かぶせ茶、なばな、トンテキ |
中勢 | あまご料理、鰻料理、松阪牛、松阪赤菜、豆腐 |
伊賀 | 豆腐田楽、かたやき、伊賀牛、お米、ジビエ(海に面していないので山の食材が多い) |
伊勢志摩 | 伊勢うどん、てこね寿司、伊勢海老、鮑、あおさ、お餅、伊勢芋、伊賀葱 |
東紀州 | さんま寿司、めはり寿司、マイヤーレモン、新姫(柑橘)、熊野地鶏 |
恥ずかしながら、セミナーを聞いていて「え!三重ではこれも有名なんだ!こんな食べ物もあるんだ!」と心の中で驚いていました。
自分の住んでいる県のことを知ることも大切ですね。
三重の海の生態系の変化
三重の特産品といえば、「伊勢海老」を思い浮かべる人も多いのではないでしょうか?
しかし、この伊勢海老の数が減ってきているという事実があります。
これは海の生態系の変化が関係しています。
志摩市沿岸の観測によると「黒潮の大蛇行」の影響を受け、令和を過ぎてから海の水温が17度を超えているそうです。
これにより暖かい海を好むウツボの数が増えます。
もともとの生態では、ウツボがタコを食べ、タコは伊勢海老を食べる、という構図でした。
しかし、この水温の上昇でウツボの数が増え、ウツボがタコだけではなく、伊勢海老を食べ出しているという状況が生まれているのです。
これが伊勢海老の数が減少してきている原因です。
このことから、伊勢海老の天敵となってしまったウツボを捕獲して、食べようという流れになってきているのです。
実は三重県ではウツボを食べる文化はあまりないのですが、高知県や和歌山県などは昔からウツボが食べられているそうですね。
今回はこのウツボの唐揚げもお酒のペアリングとして出していただきまいした。
今回のセミナーでいただいた三重のお酒
田崎真也さんがコメントをしてくださっていたので、書き留めた内容をご紹介しますね。
※全て正確に書き取れた訳ではないので、その点ご了承ください。
ペアリングでいただいたのは伊勢真鯛(抹茶風味、マイヤーレモン、醤油)とウツボの唐揚げです。
こちらはソムリエ協会三重支部の方が考えて用意してくださった様ですので、そのペアリングに対して田崎さんがコメントされる、という形でした。
伊勢茶スパークリング × 伊勢真鯛
テイスティングコメント抜粋
外観:トパーズの色合い。上質なスパークリングワインの様に泡の刺激がずっと滑らか。
香り:茎茶の香りをメインに感じる。麦穂の香り。若干スパイスの香り。
味わい:渋みはほとんど感じられず、苦味と旨みが調和。優しい味わい。
ペアリングの抹茶風味の伊勢真鯛:伊勢茶スパークリングで「茶」を感じられるので、抹茶風味ではなくても良いかもしれない。
サミットなどでもアルコールが飲めない方がいらっしゃると、お茶でペアリングを提案されることもあるそうで、ノンアルドリンクの可能性が感じられますね。
伊勢角屋麦酒 HIMEWHITE ヒメホワイト × 伊勢真鯛
テイスティングコメント抜粋
外観:トパーズ、イエロー、黄金。
香り:柑橘の香り、白い花の香り、ハチミツや花の蜜を感じる香り、松葉の香り。
味わい:やわらかな優しい印象。しっかりとした苦味も感じられる。
ペアリングのマイヤーレモンの伊勢真鯛:ヒメホワイトの味の主張があるので、もう少し塩味がある方が良い。
作 神の穂 純米吟醸 2024 × 伊勢真鯛
テイスティングコメントの抜粋
外観:クリスタルで透明感ある色調。ほのかにグリーンが感じられる
香り:華やかな印象、カプロン酸エチルのリンゴ様の香りと酢酸イソアミルのバナナ様の香りのバランスが良い
味わい:まろやかな甘みで、旨味が広がる。ドライではなくクリーミーな印象。
ペアリングの醤油の伊勢真鯛:醤油だと白身魚の良さが消える+味が強いので、味付けは塩など控えめが良い。
作のテイスティングの時に出た話で、最近では日本酒の甘口辛口の指標として、「日本酒度」ではなく「グルコース濃度」というのが使われるようになってきているそうです。
これは今後どちらが重要視されるようになるのか気になるところですね。
るみ子の酒 伊勢錦 特別純米酒 × ウツボの唐揚げ
テイスティングコメントの抜粋
外観:透明感
香り:穏やかで上品な印象。9号酵母由来のバナナの香り。リコッタチーズの様な香り。生牡蠣に合いそう。
味わい:やわらかな甘みと旨み。後半にコクも感じられるが、ドライ感もある。
ウツボの唐揚げ:醤油の味付けが合うとしたら熟成酒なので、今回のお酒だと少し味付けに負けてしまう。
ピュアモルトウィスキー神路 (KAMIJI) × ウツボの唐揚げ
テイスティングコメントの抜粋
香り:ピートの香りとヨード香があり、ヨード香が少し上回って感じられる。バニラの香りもほんのり感じられ、華やかで上品。
味わい:スパイス的効果を感じられる味わい。牡蠣の燻製と相性が良さそう。
ウツボの唐揚げ:やはり醤油やみりんが強いと△
まとめ
テイスティングコメントに関しては毎回難しい…と痛感するのですが、今回はペアリングに関しても改めて難しいな、と感じました。
てっきり醤油のお料理って日本酒に合うと思っていたのですが、醤油が合うのは「熟成酒」と田崎さんはおっしゃっていました。
もちろん日本酒の味わいやペアリングは奥が深いので、今回お話されていた内容は一例に過ぎないとは思いますが、とっても勉強になりました。
これからもう少しお料理とお酒のペアリングについても、お客様にご提案できるようになりたいと思えるセミナーでした。
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