肥満・老化防止にゴマ
古来より強壮食、また不老長寿の食として広く愛されてきたゴマ。
ラマ僧や禅僧の厳しい修行を支えたのは、ゴマの力が大きいといわれる。
ゴマは漢方でも強壮剤として精を補い、寿命を延ばすとされてきた。また、我が国でも古くから、ゴマを常用すると髪の毛を増やし、ツヤのよい髪を保つとされる。
ゴマそのものに、非常に酸化されやすい油(リノール酸)が豊富に含まれるが、肉や大豆に含まれるほかの油ほどは変化しにくい。
なぜなら、ゴマには油とともに「セサミン」という物質が含まれ、それが油の分離過程で、強力な酸化防止成分「セサモール」に変わるからである。
人の体は主にたんぱく質と脂質でできている、セサミンはゴマとして食べても体内の脂質の酸化を抑える。
また、最近は皮膚がんや肺がんの進行を遅らせたり、細胞の老化を防ぐなどの効果のあることが確かめられている。
そのほか、血液中からアルコールを消失させる速度を高めるのもセサミン。つまり、ゴマ食は酒飲みの酔いを速やかに覚ます訳である。
名古屋大学の川岸舜朗教授らの「老化促進マウス」の実験では、活動度や外観から見た老化度評価でも、”ゴマ食群”が対照群に比べてはるかに若々しく、また体重も増えにくいそうである。
肥満・老化予防には最適の食品といえよう。
ただし、ゴマは粒のままでは消化されず、そのまま胃腸を素通りしてしまうので、すりつぶして使うこと、あるいは粒のまま使うときはよくかみ砕くことが大切である。
京都山崎の近くには油を祀る神社「油祖離宮八幡宮」があり、そのわきに古くからのてんぷら屋がある。
かつて、そこで食べた「玉絞め(石臼絞り)」といわれる100%無添加のゴマ油で揚げたてんぷらは、天下一品であった。
「誤魔化す」ではないが、ほかの料理の方はうまかったということ以外、全く覚えていない。
しかし、てんぷらの風味は抜群であった。
毎日の健康のためには、無添加で質の良いゴマ油を少量ずつ摂ることである。
(倉敷芸術科学大学教授・医学博士=須見洋行)
(岡山リビング新聞社発行 「納豆博士の食養生」より)